綺麗にサポートできる角度(詳細編)
前回、綺麗にサポートできる角度を検討し、30°前後に綺麗にサポートできる境目がありそうだという結果を得ました。
前回は15°刻みで検討したのですが、せっかくなので今回はさらに細かく5°刻みでどこまで綺麗にサポートできるのか検討してみたいと思います。
ということでまずはデータを準備していきますが、0から作成するのではなく、前回のデータを修正しましょう。
ということでデータを修正していきましょう。
データの修正
今回は元のデータから、角度のステップを15°、20°、25°、30°、35°とします。
まずはFreeCADを起動します。
メニューバーの「ファイル」をクリックし、「開く」をクリックします。
ファイル選択ウインドウが開きますので、前回作成したファイル(私の場合はsupport-4.FCStd)をクリックし、「Open」をクリックします。
(注:当サイトではFCStd形式のファイルをアップロードしておらず、ダウンロードできるSTL形式では以下の方法で修正はできません。
あくまでも当サイトを参考にご自分でデータを作成されている方に向けて解説しています)
これでファイルの読み込みは完了です。
左側のウインドウから「Pad」をクリックします。
するとその「Pad」に対応したスケッチが出てくるので、ダブルクリック。
そのスケッチが開きます。
一番小さな角度は15°なので、こちらは変更する必要がありませんでした。
ということで「閉じる」をクリックして次に行きましょう。
「Pad001」に対応したスケッチ「Sketch001」をダブルクリックして開きます。
150°となっている角度をダブルクリックし、角度入力ウインドウに「160」と入力し、「OK」をクリックします。
これで20°(180°-160°=20°)は完了です。
同様にして「Sketch002」を開いて、角度を「155°」にします(25°)。
同様にして「Sketch003」を開いて、角度を「150°」にします(30°)。
同様にして「Sketch004」を開いて、角度を「145°」にします(30°)。
これで15°から35°までの角度を作ることが出来ました。
データはこちらにアップロードしておきますので、いつも通りダウンロードはご自由に。
スライス条件
いつも通りUltimaker Curaを使ってスライスしていきます。
プロファイルは「Standard Quality -0.2 mm」で、あとはサポート以外に関してはデフォルトでです。
サポートの条件としては、サポート開始:オン、サポート配置:ビルドプレートにタッチ、サポートオーバーハング角度:1°とします。
前回同様、一番小さい角度が15°なので、サポートオーバーハング角度は14°以下であれば大丈夫です。
スライス結果はこんな感じです。
前回は1時間を超えていましたが、高さが下がった分、プリント時間が短くなりましたね。
プリント結果
ということでプリントしてみました。
それぞれ角が少しめくれ上がってしまっていますが、全体的にはまぁまぁの造形ができているのではないでしょうか。
裏面から見てみましょう。
前回は75°、60°の場合はサポートと造形物の間が隙間が空いていましたが、今回はどの角度でも隙間は見えません。
サポートを取り外してみました。
左側から15°、20°、25°、30°、35°です。
斜面はぱっと見どれも綺麗にプリントできている感じがします。
ちなみに底面の造形物とサポートの境界を見てみると、低角度側(つまり15°側)はサポートが少し残ってしまっています。
こちらがサポート側です。
これも左側から15°、20°、25°、30°、35°です。
前回と違いどの角度でも網状の構造があり、しっかりサポートとして機能していることが分かります。
今回はぱっと見では差がなかなか分からないので、顕微鏡を使ってみていきましょう。
サポート接触面の質
斜面を見てみましょう。
まずは15°。
サポートが当たっていたところに、跡が残っているのがかなり見えます。
次に20°。
15°ほどではないですが、うっすらサポートが当たった跡が残っています。
それでも十分綺麗な面だと言えるレベルです。
次に25°。
ここまでくるとサポートが当たっていた跡は見えなくなります。
そして30°。
サポートが当たっていた跡は見えずに、かなり綺麗な面です。
最後に35°。
いうまでもなくサポートの跡も見えずに綺麗です。
ここまででは20°くらいでサポートがあっても十分綺麗なレベルでプリントでき、25°以上ではサポート跡も見えないレベルで綺麗だという結果になります。
底面の造形物とサポートの境界
先ほど底面において造形物とサポートの境界に、少しサポートが残ってしまっているとお話ししました。
この残ったサポートはしっかりと造形物にくっついてしまっているので、これを取り外すのはかなり難しいです。
つまりこのしっかりくっついてしまっているサポートがどれくらい残っているかも、造形の質に影響しているとみていいでしょう。
ということで、こちらも顕微鏡を用いて、もう少し細かく見てみましょう。
まずは15°。
サポートの網状構造の1つ分がまるまる残っています。
次に20°です。
こちらではサポートの網状構造の半分が残っています。
次に25°です。
こちらでは網状構造の半分弱、4割程度残っているという感じです。
そして30°。
こちらはほぼ残っていませんが、厳しくみると1割程度残っているように見えます。
最後に35°。
こちらもほぼ残っていませんが、サポートが当たっていた跡が残っています。
まとめ
今回は、15°から35°まで5°刻みで斜めの構造でサポートが造形物に与える影響を検討しました。
その結果、斜面だけでいえば20°以上であれば、サポート跡がほぼ見えないレベルで綺麗に造形出来ました。
しかし低角度であればあるほど、底面において造形物とサポートの距離が短くなるため、造形物とサポートの境界において、サポートがしっかりと造形物についてしまうようになります。
この底面におけるサポートがほぼ見えなくなるのが30°でした。
つまり30°以上であれば、ほぼサポートをした痕跡がないレベルで造形できるギリギリの角度だといえるのではないでしょうか。
しかしここで疑問が出てきます。
低角度であれば、造形物とサポートの境界において、サポートがしっかりつきやすくなるのは分かります。
しかしこれはレイヤー高さにも影響を受けるのではないかということ。
ということで次回は今回と同じ構造でレイヤーの高さを少なくして、綺麗に造形できるか検討してみたいと思います。
ということで今回はこんな感じで。
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