Fastenersのインストール
3Dプリンタを使っていると、欲しくなるのが、ネジとネジ穴。
ネジとネジ穴があれば、いくつかの部品を組み合わせて、大きな造形物を作ることもできるようになります。
そこで今回は実際にネジとネジ穴を作ってみます。
ただ全てをFreeCADでやるのではなく、あくまでも使えるものを簡単に作る方針でいきます。
ネジを作るには、「Fasterners」というアドオンを入れるのが楽です。
まずはFreeCADを起動します。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-1.png)
上のメニューバーの「ツール」から「Addon manager」をクリックします。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-2.png)
新たにウインドウが開きますので、リストの中から、「fasteners」を選択し、「Install/update」をクリックします。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-3.png)
するとインストールが始まり、少し待つと「Workbench successfully installed. Please restart FreeCAD to apply the changes.」とメッセージが現れます。
メッセージが現れたら、「Close」をクリックします。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-4.png)
すると新たにウインドウが現れ、再起動をするよう促されます。
とりあえず「OK」をクリックし、FreeCADを再起動します。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-5.png)
再起動後、機能(ワークベンチというようです)のプルダウンメニューに「Fasteners」が追加されているを確認してください。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-6.png)
これでFastanersのインストールは完了です。
Fastenersを使ってみる
とりあえずFastenersを使ってみましょう。
FreeCADを起動し、新規作成をします。
今回はスケッチは作成しません。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad3-46.png)
ワークベンチの切り替えプルダウンから、「Fasteners」をクリック。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-7.png)
するとメニューバーに色々なネジとナットが現れます。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-8.png)
六角ボルトがつかいやすそうなので選んでみます。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-9.png)
するとデザイン画面上に六角ボルトが現れます。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-10.png)
頭しか見えないので、回転させて横から見てみましょう。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-11.png)
確かにネジっぽいですが、残念ながらネジが切られていません。
またサイズを変えるにはどうしたらいいのでしょうか?
試してみましょう。
ネジの設定項目
では、ネジのサイズを変えてみます。
まずはネジをクリックして、選択します。
すると左下のウインドウが変わり、色々な設定項目が出てきます。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-12.png)
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-13.png)
Placementは場所や角度に関する項目。
Labelは名前。
diameterはネジのサイズ。
invertは分かりません。
lengthはネジの部分の長さ。
match Outerはネジの直径がネジ山の内側ではなく、外側になります。
offsetも分かりません。
threadをtrueにするとネジ山が現れます。
typeはネジ山の規格です。
分からない値が二つもありますが、とりあえず先に進みましょう。
ネジのサイズを変える
先ほどの項目の「diameter」を変更すれば、ネジのサイズが変わります。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-14.png)
今はM6のようです。
「diameter」の「M6」のところをクリックすると、プルダウンメニューが現れます。
ここから選んでいくわけですね。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-15.png)
とりあえず大きく変えてみたいので、M24にします。
大きくなった…かな?
比較対象がないので分かりにくいですが、とりあえず変わっています。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-16.png)
ちなみにネジのサイズが変わらないなと思ったら、デザイン画面をクリックしてみてください。
描写がアップデートされるはずです。
このM6とかM24とかはネジの太さのことで、M6ならネジ山を含んだ太さが6 mmというわけです。
ネジの長さを変える
再度、M6ネジに戻して、ネジの長さを変えてみます。
ネジの長さを変えるには、設定項目のlengthの数字をクリックします。
こちらもプルダウンメニューになっています。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-17.png)
今回は、長さを「30」に変えてみます。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-18.png)
しっかり長くなりました。
ネジを切る
さて次に、ネジを切ってみましょう。
ネジを切るには、threadをtrueにしますが、もう一つ重要な項目としてtypeがあります。
このtype、つまりネジの規格に合わせて、ネジが切られるわけです。
とりあえず「ISO4762」がJIS規格で使われるサイズとあっているようなので、こちらを用います。
ちなみにネジの長さは「8」に戻しました。
それでは「Thread」を「false」から「true」に変えてみてください。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-19.png)
これだけでネジが切られました。
プリントしてみる
ここまできたら、プリントしないわけにはいきません。
早速、データをstlファイル形式でエクスポートして、Curaでスライシングしましょう。
Curaで読み込むと、ちゃんとネジが出てきます。
ですが、このままだとネジの頭がオーバーハングとなってしまい、プリントに失敗する可能性があります。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-20.png)
そこで頭を下に回転させます。
回転させるには左側のボタンのうち上から3番目のボタンをクリックします。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/3dprinter-cura3-19.png)
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-21.png)
これでどれかの円に沿って、ドラッグしてやると回転させることができます。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-22-1024x622.png)
プリント条件としては、さすがにネジは細かいので、最高精度の0.06 mmでいきましょう。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-23.png)
プリント時間26分、フィラメント量0.2m、コスト¥1.21だそうです。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-24.png)
はい、プリント完了です。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-25-1024x768.jpg)
意外といい感じかな?
横から見てみるとこんな感じです。
しっかりネジ山ができていて、確かにネジです。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-26.png)
上から見てみるとこんな感じです。
六角形がちょっといびつになってしまっていますが、十分使えるレベルだと思います。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad5-27.png)
ネジが作れるようになると、色々組み合わせて大きなものを作れるようになるので、ぜひ試してみてください!
次はネジ穴を作っていきます。
ネジ穴を作る簡単な方法
最初に言っておきますが、今回はちょっとタイトルに偽りありです。
まずは使えるものを作る精神から、FreeCADで穴を開けたデザインを作り、そこにタップを用いて、ネジ穴を切っていきます。
これは何度かネジ穴の作成をFreeCADで試したのですが、なかなかうまく行かなかったです。
そこで試したのが、ネジ山のないネジ用の穴を開けておいて、タップレンチで削るという方法です。
購入したタップレンチはこちらです。
![](https://3pysci.com/wp-content/plugins/pochipp/assets/img/pochipp-logo-t1.png)
1,000円ほどで購入できるので、持っていて損はないかなと思います。
サイズはM6、M5、M4、M3くらいが入っていればいいでしょう。
それではいってみましょう!
ネジ穴用の穴を作る
いつも通りFreeCADを起動し、新規作成、XY平面にスケッチを作成します。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad3-46.png)
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad3-48.png)
そして適当に四角形を描きます。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad3-50.png)
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-1.png)
上の線の中央をY軸に、右側の線の中央をX軸に拘束します。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad3-52.png)
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-2.png)
上の線と右の線の長さを10 mmに拘束します。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad3-51.png)
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-3.png)
これでスケッチを抜け、押し出していきます。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad3-54.png)
今回は10 mmほど押し出しておきましょう。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-4.png)
今度は上面にスケッチを作成し、適当に円を描きます。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad3-48.png)
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad4-26.png)
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-5.png)
円の中心と原点を重ね合わせ拘束します。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad4-27.png)
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-6.png)
M6ネジ用の穴を作成するので、円の半径を少し小さめの2.8 mmに拘束します。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad4-28.png)
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-7.png)
最後にポケットを使って、穴を開けていきます。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/microbit_case1-46.png)
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-8-1024x622.png)
このデザインをstlファイルに変換し、プリントしてみましょう!
プリントしてみる!
今回は推奨設定、レイヤー高さ 0.15 mm、インフィル 10%、サポート・密着性なしでスライスしました。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-9.png)
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-10.png)
プリントしたものがこちらになります。
6分だからほんとすぐプリントできますね!
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-11.png)
タップレンチで削る
これをタップレンチで削っていきます。
こんな風に穴に垂直にタップレンチを入れ、回して削っていきます。
私はフィラメントとしては硬めのPLAを使っていますが、そこそこ簡単に削ることができます。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-12.png)
削ったものがこちらです。
なかなか分かりづらいかもしれませんが、綺麗にネジ山が形成されています。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-14.png)
3Dプリンタで作成したネジと組み合わせてみる
先ほどプリントしたネジと組み合わせてみましょう。
結構、するすると入っていき、しっかり締めることができました。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/07/freecad6-13.png)
ネジは完全3Dプリンタ製、ネジ穴は削ったとはいえ、3Dプリンタ製なので、これでネジやナットを買いにホームセンターに走らなくて良くなりそうです。
是非是非試してみてください!
次回はとうとう3D CADと3Dプリンタを使ってモノを作ってみましょう。
![](https://3pysci.com/wp-content/uploads/2019/08/waterstand1-9-300x182.png)
ということで今回はこんな感じで。
コメント
コメント一覧 (2件)
とても分かりやすい解説ありがとうございました。
初心者には大変参考になります。
koro708さん、コメントありがとうございます。
少しでも皆さんの助けになればと思って運営しているので、参考になるというコメントは大変励みになります❗️
最近は諸事情のため、3DプリンタもFreeCADも離れてしまっていますが、また再開できるようになったら、記事を増やしていきたいと思っています
これからもよろしくお願いいたします♂️